monogatari

古書のある部屋#1(伊東忠太:阿修羅帖)

本と+−

古書が好きになった理由

大学時代に通い慣れていた神田神保町。
当時は建築を学ぶ学生であったので、この街にある建築書が多く並ぶことで有名な某書店には良く通ったものだ。

社会人になりお酒やレコードや家具や車などビンテージ品に触れる機会も増え、古き良きモノの価値を少しずつ感じることになり、お祝いで頂いた1980年代のビンテージワインや1960年代のアナログレコードに触れた際に、自分が生きていない時代の空気感と現代にいる自分が繋がる感じにすごく感動が生まれた。

そこから歴史とクリエイティブが好きな自分にとって、見ても楽しく過去と現代の時代が繋がる空気感のある”古書”に興味を持ち、毎週のように神田神保町に通う日々が始まった。

古書を通じた古き良きモノとの出会い

古書には何百年も前のモノもあれば数年のモノもある。
本を買う動機はその時の心理状態の映し鏡とも言われているので人の本棚を見るとその人の個性が見えてきて面白い。

古書を通じて古き良き何かのモノとの繋がりが生まれたら嬉しいと思い、ここで紹介する古書も購入できるようにしていきたいと思う。

伊東忠太という建築家

建築を学ぶものにとって、伊東忠太の名前を知らないものはいない程の有名人。日本建築を本格的に見直した第一人者で、法隆寺が日本最古の寺院建築であることを学問的に示し、建築界で初めての文化勲章を受賞した人でもありながら、元々漫画家も目指しており妖怪も大好きという奇才を放つ建築家。

そんな伊東忠太の建築家としての代表作が築地本願寺。
伊東忠太動物園という本も出るくらい建物のあらゆるところに動物の石像を見ることができる。

もう1つの才能現る

第一次世界大戦が変えた世界を500枚の漫画として大正9年に出したのがこの「阿修羅帖」。 風刺たっぷりなイラストや表現。そして、表装のデザインまで当時のこの本に込めたエネルギーが伝わってくる逸品。

自分なりのメッセージを建築に込めたり、時には風刺漫画に込めたり、建築家だから建築のことだけやっていればいいという固定概念を壊した伊東忠太の姿勢に共感する人は多いであろう。

大正9年のパワーが宿っているこの本は是非手に取ってもらいたい。

title:阿修羅帖全5冊/伊東忠太著
release:大正9年